従来の波力発電機
水弁式防波堤波力発電機
【長所】 @ 故障の原因や製造コストの嵩む機械的「開閉弁」を水弁を設けシンプル化。
A 防波堤による波消し効果がある。
B Aの複合的意味合いから予算獲得の監督官庁や条件が広がる。
C 波高変化により浮き沈みする海洋ブイ設置型波力発電機より、海底に固定
された防波堤に設置されることから空気室エネルギー効率は高くなる。
【短所】 @ 波高変化によりプロペラが停止し発電効率は落ちる。
A 空気流が水中を通過するため効率は下がる。
B 防波堤との一体設計となり、建設費が高い。
【動向】 ・・・空気の往復流にて、どちらの風でも一定方向に回転するウェルズタービンや
クロスフロータービン(コーケン)に移行する動きがある。
→ 開閉弁が不要となる。停止期間が非常に少なくなる。製造コストの削減。
但し、ウェルズタービンは起動トルクが極めて小さく、一旦止まると起動不能の為、なんらかの再スタートを応援してやる工夫が必要となる。
クロスフロータービンの場合は起動トルクが最大値を示す特徴を備え、波高の低い段階から起電することから、安定的年間発電出力が見込まれております。
目下のところ流体コンピュータ支援解析と実証実験を重ねつつ最適化形状と波浪エネルギー活用効率を求めており、海洋観測システムへの応用を目指し努力しております。
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A 波高が高くなった時発電するタイプ
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タービン回転
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タービン停止
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B 波高が低くなった時発電するタイプ
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タービン停止
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タービン回転
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C 通常は上記AとBが複数台同一の防波堤に設置されることが多い。
機械弁式浮体(ブイ)波力発電機
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波浪エネルギーの上下運動を利用したものとして、海表面に底のない空気室を持つ浮体(ブイ)を浮かべ、空気室内の海水面が上下することで起こる空気室内と外との圧力差でタービンを駆動する方式である。
多くの機械的弁を多用するため、製造コストが高く故障発生率も高い。空気の流れは水位の上下動に関係なく一定方向に流れることからタービンとしては具合が良くなるが、防波堤などに固定設置されるものに比し、浮体自体が波高の上下動に連動して浮沈するため効率は減殺され、一定以上の波高がなければ起電出来ない。 |
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水位が上がる時
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水位が下がる時
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波浪エネルギーの回転運動を利用した波力発電機その他
− 思うこと −
● 波力発電機には「開閉弁」が必要とするご意見と必要では無いとするご意見が専門家においても分かれており
ます。
波力発電機に使われるタービンの種類や安定性などへの考え方により開閉弁の有無や数に影響を与えている様
ですが、海洋での実証実験報告を拝見しますと、開閉弁の故障発生率は少なくありませんので、出来得るならば開
閉弁は無くす方向で進むべきと考えております。
● 波力発電機を大別しますと、一定方向の風を受けてタービンを回転させるタイプと、往復流どちらの風を受けても
タービンを一定方向に回転させるタイプに分かれます。エネルギー効率としましては、どうしても後者が優位となる訳
で、その代表として「ウェルズタービン型波力発電機」が上げられ、実際、小型波力発電機の多くに使われていま
す。
あえて感想を述べさせていただけますなら、波力発電関連官庁こぞって「ウェルズタービン」偏重の傾向が見受けら
れ、大学の研究者のほとんどはウェルズタービンの効率化向上に鎬を削っているのが現状であり、反面他のタービ
ンを研究する者は極めて少数であり日陰の存在となっています。
● ただしブレート(羽根)の断面が上下同形の「ウェルズタービン」の弱点も多く、起動トルクが極めて小さく自律起
動が困難であること、回転トルクが低く一定以上の波高がなければ良好な発電が出来ないこと、ブレード表面に乱流
剥離による失速現象が生じやすく効率が落ちてしまうことなど指摘されます。
● さて、往復流に対応するものとして「クロスフロータービン」が存在します。起動トルクは大きくウェルズの20倍と
され2m/s程度の風を受け発電し始めます。小型無人波力発電機の場合は年間を通して安定した発電が求められ、
波高が小さくともコンスタントに稼動し続けることが求められます。
弊社は、数少ないクロスフロータービンの研究者とネットワークを組み、海洋観測通信システムの独立電源を目的
に「クロスフロータービン型波力発電機」の研究開発に取り組んでおります。→→波力発電機
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