海上における観測装置や浮標の電源は、長い間鉛蓄電池の交換作業により賄われて来たが交換費用や手間がかかることから、最近では太陽電池による蓄電池充電が行われるようになった。
しかし、蓄電池交換期間が若干延びましたが、蓄電池寿命は短く太陽電池の稼働時間は晴天時でも実質4〜5時間とされ、電源事情により観測装置の制約やデータ通信回数の制限を余儀なくされてきました。
したがって、海上観測装置本体は非常に予算がかかっているのに反し、その独立電源化は非常に遅れており、その脆弱な電源容量により観測の質と量が落とされている状態であり、欠測や通信ミスの原因ともなっていました。
このため、太陽電池と風力発電機とのハイブリッド化が、海洋関係者の間で試みられましたが、その多くがプロペラ型や揚力型風力発電機だったために強風破損事故や狭い場所での設置は負傷事故につながることも予想され、実用化の話は聞いておりません。
こうした実情を踏まえまして、大学研究室にて長年開発研究や屋外実証実験が重ねられておりましたガイドベーン付クロスフロー風力発電機の特性が、防災監視装置や道路標識といった低消費電力装置のための小型独立電源に最適と判断し、インフラ未整備エリアや送電線工事不能の場合を想定し、低消費電力装置用独立電源に特化した設計をし商品化に取り組んで参りました。
なお、波力発電機は波のエネルギーで稼動するものですが、ブイ内の空気室にて作られた圧搾空気で回転するものであり、空気流出入が一定方向になり風量が増強されただけであり、厳密に言えば風力発電機の応用に過ぎません。ただし、ガイドベーンの形状や構造全体は全く新しいタイプのものであり様々な工夫がなされており、ただいま試作機実験と流体数値解析との両面から実用化に向け鋭意努力しております。
振動水柱型空気室は、大型浮体ブロックの波による振動を抑えることが知られており、海上の独立電源を兼ねた海上プラットフォームの安定化装置としても期待される側面を有している。 |